「バンデット最大のミステーク」
「私は、おたくのルアーを一つ買ったんだけど、このルアーはミステーク(欠陥)商品ですよ。」クリス・ロスは、10年以上前にこのような内容の電話を幾度ももらったものだ。確かに、その内容の半分は正しかった。何故なら、そんな電話をしてきたお客は、まず例外なくバンデット・クランクベイトのミステークカラーを買っていたのだ。まるでミスをしたかのようなペイント。ミステークカラー、それは、ブラックバックから縦にボディーサイドに向かってブラックバー(黒い帯)がペイントされたこのカラーに馴染みがなければ先ず驚くだろう。このミステークというネーミングは、ボディーサイドのカラーリングからきている。ボディー側面の一方が赤で、その反対側はチャートリュースグリーンにペイントされている。見る面によって2種類の違った色に見えるカラーリングだ。最初の頃多かったのは、ルアーを手に取って見て早春のクランクベイト・フィッシングでよく使うレッド・クローのように見えるボディーカラーだと思って買い求めた後に、家に持って帰ってよく見ると、反対側が間違ってペイントされているのに気付いて驚くというパターンだ。多くのアングラーが、クリス・ロスやバンデット・ブランドのセールスマネージャーや前の会社のオーナーにこの重大なミステークを電話で報告してくれた。そして、その多くはこのルアーを試してみることに同意をして、そして後で感謝の電話をくれたものだ。
トーナメントプロでアラバマ州ロジャースビルのテネシーリバー・ガイドを長年やっているジミー・メーソンは、「このミステークカラーは、長年信頼して使っているバンデットのクラシックカラーの一つだ。私がまだ高校生だった頃に初めてこのカラーでバスを釣った記憶が鮮明に残っている。いまでも、私のコンフィデンスカラーの一つであることは間違いない、まさしく無くてはならないカラーパターンだ。」もしあなたがテネシー東部や北部アラバマのテネシーリバー渓谷の何処でもいいので、地元のアングラーとルアーカラーについて話を始めたら、このミステリーカラーが人気カラーのトップ5に入ることにすぐ気付くはずだ。言い換えれば、皆が思っている以上に上級者がベスト5に選ぶカラーだと言うことができる。
【 ミステークカラーの始まり 】
メーソンは、どうしてこんなカラーリングになったのかについて色んな説を耳にしたことがある。その中でも、最も本当らしいものにカラーリングのミスだというものがある。ところが、実際はルイジアナの販売店の依頼で、元々あったオリジナルのカラーバージョンにはないカスタムカラーを作った時に出来上がったカラーパターンが基になっているというのが真相だ。このカラーパターンは、同じカラーのルアーを長くキャストしていると、次第にバスの反応が悪くなってくることに対処するアイデアとして生まれた。ミステークカラーだと魚にとっては、さっきとはまた別のものが近づいてくるように毎回違って見えるはずだ。当時、クリス・ロスの奥さんがお客からの注文を受けていたが、
ルイジアナの一回限りの特別注文に応えるために作ったルアーカラーをジョークでミステークという名前で帳簿に付けたのが始まりだった。それは、全くもって正しいネーミングだった。というのも、そのミステークカラーのバンデット200は、あっという間に売り切れたからだ。同じ販売店がまた同じカラーを再び注文してきたが、このカラーの評判が瞬く間に広がり、バンデットルアーの定番色になるのに時間はかからなかった。これは、30年近く前の話だが、今となってはバンデットの最も人気があるカラーの一つとなっている。クリス・ロスは、このミステークカラーのアイデアを多くのバンデット・モデルの色んなところで使っているという。特別注文として生まれたこのカラーは、少なくともバンデット・クランクベイトの100と200と300のシリーズのスタンダードカラーとして活躍している。メーソンは、BOMBER(ボーマー)のフラットAやディープ・フラットAが効く低水温期にこのミステリーカラーの実績が高いと言う。ボーマーのフラットAとディープ・フラットAは、低水温期のクランクベイトとして信頼と実績があるが、もし可能であればミステリーカラーがあればといつも思っている。
【 ミステークカラーのシーズン 】
ミステークカラーが何故こんなにも効くのかという理由の可能性を色々と考えてはみるが、はっきりと言えることは、ある条件下ではこのカラーが絶対的だということだ。それも、このカラーの不思議なところだ。何かの要素がバスを刺激しているのだろうか。低水温期には、少なくとも幾分水に濁りが入っているが、そんな時のファーストチョイス・カラーだ。ステインウォーターでは、他のカラーが目立たない場所でも、このカラーは非常に目立つ。だから、メーソンにとってミステークカラーは、低水温カラーの中でもベストカラーだと思っている。真冬から春にかけて頼りになるカラーだ。メーソンは、バスの視認距離(バスが見える距離)を2フィート(60センチ)以内にしたいと常々思っている。(60センチ離れた位置のルアーをバスが認知するということ。濁度とルアーの目立つ度合いとの関係で決まる。)できれば、18インチ(45センチ)あるかないかの距離に保ちたい。(メーソンは、魚とルアーの間合いを45センチぐらいが適当だと考えている。)かなり相対的濁度が高い条件でもこのカラーを投げ続ける。もし、6インチ(15センチ)の視界があれば、このカラーではマッディー過ぎる濁度とは言えないと言う。メーソンは、低水温期にバンデットのシリーズ100, 200, 300をよく使う。全てのシリーズは、三種類とも同じサイズで同じ形をしている。違いは、リップの形状だけだ。100シリーズは、スクエアリップでシャローランナーだ。シリーズ200と300は、両方ともラウンドリップだが、リップの長さが異なる。200は、6~7フィート(1.8~2.1メートル)ダイバー、300は、9~10フィート(2.7~3メートル)ダイバーとなっている。メーソンは、フサモやクロモが生えているようなシャローフラットやポケットの裏にあるシャローマッド(かなり濁ったスポット)では100シリーズを、ナチュラル・ロック・バンクやリップラップでは、200か300シリーズをキャストすることが多い。この場合、ボトムをあまり引きづり回す感じではなく、ボトムやカバーを適度にノックさせる感じでバンクのスロープに当てていく。その時のコツは、スロー&ステディーリトリーブで、できるだけ多くの岩やスタンプに当てていくようにするとよい。ボトムやカバーを意識して、クランクベイトをイレギュラーに弾ませるイメージで使うとよい。5:1のギア比のリールに10ポンドのフロロカーボンを巻き、7.2フィートぐらいのクランクベイトロッドを使うとよい。もし釣り人が変わったバンデットで魚を釣ったという話をしていたら、それはおそらくミステークカラーのことだろう。
BANDIT バンディット BANDIT100 ・ BANDIT200 ・ BANDIT300 1130円 |
※すべて税込価格