アメリカンルアーフィッシング入門!Vol.17
「沖へ移動したバスのクランクベイトフィッシングゲーム」
テネシー州のバスプロであるカート マクガイヤーは、今年の5月に行われたケンタッキーレイクでのFLWアメリカンフィッシングシリーズで優勝した。マクガイヤーは、デカバスが既にスポーニングエリアにいなくなっているのに気付き、沖にサスペンドしているデカバスにクランクベイトが効果的であるとすぐに突き止めたのだ。同じようにアラバマ州のバスマスター エリートシリーズプロのラス レーンも沖のバスを狙う時、
75%~80%はクランクベイトを選択するだろうと言っている。私にとっては沢山のバイトは必要ではなく、求めているウエイトのバスのバイトが5回あればよく、それに必要なルアーこそクランクベイトなのだ。今回は、シャローから沖のストラクチャーやカバーに移動したバスのクランクベイト攻略法に焦点を当てよう。レーンは、今シーズンのテネシーリバー戦の最終日にリミットを26ポンド(11700グラム)で揃えてきた。さらに、ケンタッキーレイクの二日目にも素晴らしいリミットメイキングをしている。共にリミットメイクフィッシュの大方はクランクベイトで釣った魚だった。マクガイヤーもレーンも全ての状況に効果的なクランクベイトは無いと言っている。つまり、クランクベイトでの攻略にはアクションの異なるクランクベイトを、しかもカラーやサイズをいく通りも準備しておく必要があると言う。その日の状況にマッチしたよりよい反応を得るためにこのことは必要なことだ。レーンは、一種類のクランクベイトで全ての状況に対応することは無理で、クランクベイトとはそもそもそういうルアーなのだと説明している。クランクベイトは言わば道具であり、それぞれの状況に合わせて使い分けしなければならない。テネシーリバーのような広大なフィールドでは、特に色んなクランクベイトをボートデッキに用意しておかなければならない。このことはマクガイヤーも同意見だ。もし、あるクランクベイトを使っていて、ワンフックのような不十分なかかり方をした場合は、別の種類のクランクベイトに替えるだろう。例えば同じクランクベイトだとしてもカラーをチェンジするなどしてよりマッチしたクランクベイトがどれかを探っていく作業が必要で、それが釣果を確実に伸ばす秘けつだと言う。この二人のバスプロはラインサイズやクランクベイトのアクションの付け方については異なった考え方を持っているが、同じクランクベイトフィッシャーマンとして二人とも素晴らしい成績を残している。
マクガイヤーは、クランクベイトフィッシングには比較的ライトなラインを使うことが多い。私は、テネシーリバー戦では、8ポンドのナイロンラインを使って戦った。もちろんフロロカーボンラインや別の太さのナイロンラインを使ったことはあるが、フロロの8ポンドではラインを操作するのに硬すぎると感じる。私の場合は、8ポンドナイロンラインの僅かな伸びが非常にクランクベイトを操作しやすくしていると感じている。他のアングラーがバスのランディングに失敗しているのを見ることはあるが、私はこの種のランディングミスはやったことがない。そして、結果としてこのライン選びが釣果に確実な差を生むと考えている。加えて、ライトラインであるからこそ比較的より多くのバイトを見逃さずにフッキングまで持ち込めているとも考えている。 一方レーンは、深くクランクベイトを潜行させてもほとんどボトムにコンタクトさせないと言う。あまりゴツゴツとルアーでボトムを叩きたくはないと話す。従って、異なったラインサイズを用意し、どのクランクベイトにどんなパフォーマンスをさせたいかによってラインを使い分けている。もし、15フィート(4.5メートル)レンジを攻めるのであれば、12ポンドのフロロカーボンラインに「ボーマーのファットフリーシャッド」を結び攻めていく。何故ならこの組み合わせで確実にイメージしているレンジにクランクベイトを送り込め、しかも不用意にボトムを直接たたくことはないことを彼は熟知しているからだ。
マクガイヤーは、クランクベイトの泳法についてレーンとは全く異なる意見を持っている。先ずマクガイヤーは、可能な限りの遠投を行いレーンとは異なり、むしろクランクベイトをボトムへコンタクトさせるようと試みる。できるだけボトムへ接触させボトムを叩く感じをよしとしている。ボトムにある岩などの変化に当てていくというよりは、むしろクランクベイトがボトムを這いずり回るイメージだと言う。岩棚やハンプや岬などのボトムをクランクベイトで通していく。ルアーがそれらのストラクチャーやカバーにコンタクトしながら這いずりまわってくるのをバスは気づき、次第にそして急に彼らの目の前にクランクベイトが現れるので、何が起こっているのかを充分に把握する前にリアクションでバイトしてしまうというイメージだ。土煙がもうもうと上がっても良い。ロッドに関しては、二人とも、きれいな弧を描くスロー気味のアクションロッドが良いと言う。そしてしっかりとしたバットが必要だと言う。レーンは、クランクベイトフィッシングには、グラスロッドを好んで使うが、ルアーの動きやバイトをロッドで感じ取ることが必要だと言う。マクガイヤーは、すでに市場では販売をされていない古いフルーガーロッドを使っている。十分なベンドとバスの顎にしっかりとフッキングできる強さを持つバットが重要だ。二人ともリトリーブスピードは速めだが、リトリーブ中にストップ アンド ゴーのアクセントをつけることを勧めている。レーンはさらに途中にトウィッチアクションを刻む。レーンは、またストップを入れた時にロッドを少し戻し、ラインテンションを僅かに抜いている。ルアーのナチュラルな不規則運動を抑制しないためだ。常にバスがルアーを追いかけているとイメージし、何らかの不規則な動きをルアーに与えることによってバスに誘いをかけたり、よりアグレッシブな反応を引き出すことが可能になるのだ。二人が共通していうクランクベイトフィッシングの肝は、兎に角ルアーを動かし続けろということだ。レーンは、僅か10~20ヤード(9~18メートル)のブレークポイントからやる気のあるバスだけを時間をかけて絞り出している。マクガイヤーは、岬やハンプ、駆け上がりなどのポイント周りをバスが反応するまで、行く通りもコースを変えながら粘り強く丁寧に攻めている。そうするとバスが反応するコースのパターンが一つ以上見つかることもざらにあるのだ。鍵は、一つのスポットにわずか数投キャストしバスがいないと諦めるような釣りをしないことだ。先ず、沢山のスポットを回れ。そして色んな角度、色んなアクション、色んな深度などを丁寧に試しながらキャストし続けろということだ。もし、あなたがクランクベイトフィッシングで結果を残したいのなら、フリッピングやピッチングフィッシング同様に根気強く、折れない強い心を持つ必要があるだろう。1時間粘って、そのポイントではバイトが得られなかったと結論を出す時だってあるのだ。一日中キャストし続けなければならない。シャローバンクから沖に出たデカバスの群れを狙う時は、これ以外のアドバイスはない。マクガイヤーは、シンプルに言う。ビッグバスを狙うのであれば、ビッグクランクベイトを投げろと。もしあなたが沖のブレークラインで10匹のバスをジグとクランベイトで釣ることができたと仮定してみよう。私は、クランクベイトで釣った魚の方がクオリティーフィッシュでありビッグウエイトであるはずだと断言する。それだけクランクベイトフィッシングのポテンシャルは高いのである。是非、シャローだけでなく、オフショアでのクランクベイトフィッシングを堪能していただきたい。
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