アメリカン ルアーフィッシング入門!
「バイユー・ブギ / 比類なきルアー・ヒロ内藤」2016年6月号Vol.78
人のタックルボックスを覗いてみると、大概は自分がいつも使っているタイプのルアーを見つけることができる。そういうルアーの一つに、リップレス・クランクベイト(バイブレーション・ルアー)がある。キャスタビリティーや使い勝手の良さ、サーチ能力の高さ、そして何よりもよく釣れることから多くのアングラーがこのルアーをよく使っている。リップレス・クランクベイトは、ルアーの背に受ける水圧によってハイピッチでタイトなバイブレーションを発生する。このタイプのルアーのオリジナルは、1940年代後半のノースカロライナで生まれた。しかし、その時点ではまだよいルアーとは言えなかった。
このデザインで釣れるルアーとして登場した初期のものは、1957年に発売されたHeddon(へドン)のスーパー・ソニックだ。それに続いてCotton Cordell(コットンコーデル)のホット・スポットやBOMBER(ボーマー)の3Rなどが発売された。このルアー・カテゴリーに“醜いあひるの子”的なルアーがある。それは、Heddonのバイユー・ブギだ。このルアーを横から見ると典型的なリップレス・クランクベイトの形をしている。しかし、歴史的に見てもこのルアーが他の多くのリップレス・クランクベイトとは全く違ったコンセプトでデザインされているということが明確だ。バイユー・ブギ(同じ形だけども元は違った名前がついていた)の元々のオリジナルは、テキサスのコーパ・クリスティーで1930年代にフレッド・ニコルスによって作り出され、スペックルド・トラウトのようなソルト・ウォーター・ゲームのために開発されたものだった。
このルアーのユニークな特長の一つは、ラインアイの位置とそのことによって生み出される効果だ。ほとんどのリップレス・クランクベイトは、ルアーにバイブレーションを起こさせるための水圧を発生させるため、水圧を受けるフラットな背の面に対し垂直にラインアイが設定されている。一方、バイユー・ブギのラインアイは、フラットな面ではない位置に設計されている。このラインアイの位置がバイユー・ブギをハイスピードでクランクすると超タイトなバイブレーティング・アクションを生む理由となっている。さらに、このルアーはトウィッチ、あるいはジャークさせると、左右にダートするという優れた機能がビルト・インされている。ルアーがボトムに着底する時、このルアーは横向きに寝ることはない。左右どちらかに傾きはするものの、完全に横倒しにはならない。このようなルアー設定により、ボトムからルアーをトウィッチもしくはジャークさせると、逃げ惑う甲殻類のように素早くボトムポップしてくれる。ボトム・ポップ・リトリーブ・メソッドで操ったバイユー・ブギは、素晴らしく刺激的なアクションをしてくれる。まさに、他に類を見ないリップレス・クランクベイトである。
ヘドン バイユーブギ W65 960円