「ジミー・ヒューストンのスピナーベイト講座」
<ピーナツバターにはジェリー(ジャム)が付き物>
<春の雨が5月の花を咲かせる>
<ジミー・ヒューストンと言えばスピナーベイト>
切っても切れない関係と言えば、ジミー・ヒューストンとくればスピナーベイトということに異論をはさむ人はいないだろう。ジミー・ヒューストンは、スピナーベイトが世に出て以来ずっとスピナーベイトと共に歩んできたと言っても過言ではないし、彼の釣りの中心的なルアーでもある。彼の長い経験とその実績から、彼がスピナーベイトのポテンシャルを一番良く知っているアングラーだと言える。皆さんはスピナーベイトについて書かれた記事を沢山読んでいるだろうし、スピナーベイトのセレクションや使い方の基本はよくもうご存知かもしれない。
多くの人がスピナーベイトについて語っている中で、その多くの情報が実際的ではなく、しかも確実に釣果が上がるというものでもないとヒューストンは指摘している。そのジミー・ヒューストンにどうすればスピナーベイトで釣果が上がるのかを聞いてみた。
1)スカートを外せ!
バスの反応がシブい時、天候が無風で晴れ渡っている時、あるいは、フィッシング・プレッシャーやそれ以外のプレッシャーが強い時に、ヒューストンはしばしばスピナーベイトのサイズを下げるか、スカートを少し間引いてアクションを小さ目にする。または、バスが小さ目のベイトに神経が集中している状況などでは、スピナーベイトのスカートを全て外してしまうこともある。つまり、ヒューストンは時々アッパーアームのブレードとローアーアームのスカート無しのむき出しのヘッドとフックという状態でスピナーベイトを使う。見た目が見慣れないので違和感があるかもしれないが、当然バスは全く持って気にすることは無い。実際やってみれば、多くの場合このシンプルな外形にバスが反応してくることに気づくはずだ。さらに、ヒューストンは、小さ目のヤムのマネーミノーのようなスイムベイト・タイプのトレーラーをスカートの代わりとして使う場合がある。彼は、その時バスが捕食しているベイトのサイズを参考にして、トレーラーとして使うスイムベイトのサイズを選んでいる。スイムベイトを選ぶ時に大事なポイントは、ナチュラルなベイトライクな形状とテールの動きだという。スカートの代わりにスイムベイトを取り付けたスピナーベイトは、まるでアッパーアームのブレードと相まって二匹のベイトが群れて泳いでいるようにバスも錯覚するはずだ。揺らめくスカートより、よりナチュラルなスイムベイトに反応が良ければ、バスがスピナーベイトをベイトの群れと錯覚していると考えられる。ヒューストンは、1/4オンス~3/8オンス(7グラム~10.5グラム)の比較的小さ目のサイズのブーヤー・スピナーベイトを「スカートレス・スピナーベイト(スカート無しのスピナーベイト)」として使うことが多い。使い方は、普通のスピナーベイトと同じだ。スカートがあるにしろ、無いにしろヒューストンは、ルアーが見えるか見えないくらいの深さのゾーンを引いてくることが多い。この法則から言えば、クリアウォーターでは、数フィート(60センチ~1メートル)ぐらいのゾーンを、ステインウォーターでは水面からわずか下のゾーンを引いてくるということになる。「フィネス・スピナーベイティング」として、小さ目のスピナーベイトにスカート無しの「スイムベイト・スピナーベイト」が使えるが、ベイトフィッシュが大きい場合には、大き目のスピナーベイトとフルサイズのマネーミノーを組み合わせることも可能だ。
2)良いバイブレーションを得るためにワイヤーを曲げろ!
スピナーベイトが生み出すバイブレーション(振動)をより強くすることによって得られる効果は、魚がルアーを見つけやすくなるので、その結果としてストライク率が上がるということだ。ヘビーカバー、ステインウォーター、あるいは、その他の魚の視界を損ねるようなコンディションでは、より強いバイブレーションがウォーターカラーやカバーなどの種類とは関係なく、ストライク率を上げる要素となる。シングル・コロラドブレード・スピナーベイトは、複数ブレードのスピナーベイトよりブレードの振動が強く、しかも使われているコロラドブレードはウイローリーフよりも強い振動を生み出す特性がある。ヒューストンは、シングル・コロラドブレード・スピナーベイトが効果的な状況をよく知っておく必要性と手持ちルアーとして持っておくことの重要性を指摘している。もし、シングル・コロラドが手元になくてもヒューストンは、手持ちのスピナーベイトの振動をより強くするためにアッパーアームとローアーアームとの間の角度を広げるために、スピナーベイトのアームを曲げることがある。アッパーアームのブレードからローアーアームのヘッドを離すことによって、水中で泳がせたときにより強い振動を得るためだ。ただし、あまり角度を広げ過ぎると、リトリーブ中に水中でルアーが回転してしまうので広げる角度は色々と試してみる必要がある。また、振動の強さと魚の反応は、一種のバランスの問題なので、状況にベストマッチな振動が得られる角度を見つけ出す必要がある。厳密に言えば、スピナーベイト個々にチューニングの量が異なってくるので、如何に早く振動の強さや種類、あるいはトレーラーの種類を見極めるかが大切だ。ヒューストンは、スピナーベイトを投げながら、時には少しワイヤーを広げるなどのチューニングを施しながら、その日のパターンを探っているのだ。
2)フックポイントを広げろ!
理由は何であれ、他のルアーに比べてスピナーベイトのバイトミスが比較的多いのも事実だろう。おそらく、バスがブレードにバイトしてしまうか、単純にスピナーベイトの形状が大き過ぎるのか、あるいは動きが速すぎるためだろう。ブレードとスカート、場合によってはトレーラーなど、これらの全てのパーツがスピナーベイトの魅力を生み出している。そして、それぞれのパーツがフックポイントから少し離れた位置にあるのでミスバイトが発生する原因にもなっていると言える。ヒューストンは、試行錯誤を繰り返しながら、そして、時間をかけながらフックポイントを少しだけ外に広げることでフックアップ率が上がることを見出した。
ほとんどのスピナーベイトは、フックポイントがシャンクと並行か、又は少し内側に曲げられている。ヒューストンは、そのフックポイントをほんの僅か外側に広げることで、フックアップ率をあげている。プライヤーでもって、フックポイントをほんの僅か外側に広げるといいとヒューストンは言う。フックポイントに触ることに抵抗を感じるアングラーも多いだろうが、十分に気を付けてやれば問題はない。同様に、フッキング効率を上げる目的でヒューストンはトレーラーフックを使う場合もあるが、常にというわけでは無い。トーナメントの時には、トレーラーフックを使いはしないが、念のために準備は必ずしておくと言っている。カバー周りでトレーラーフックを使うには練習が必要だ。トーナメントでトレーラーフックを使いたいアングラーは、先ず、よく練習してから使うのがいいだろう。