アメリカン ルアーフィッシング入門!
「ヒロ内藤流、へドン・ラッキー13の要点」2017年8月号Vol.120
13日の金曜日が新しいルアーテストを行うのに向いているかどうかは疑問だが。特に1910年代はそうだったはずだ。しかし、金曜日は新しいルアーをちょっと試してみるのにはうってつけの日でもある。Heddon(へドン)のカタログに載せるためにテストを行っていたルアーを生産ラインにのせる時に「ラッキー13」と名付けた。それからおよそ100年がたつが、このトップウォータールアーは、当時と同じ名前でいまだに残り続け、魚もこのルアーにはいまだに抵抗できないでいる。「ラッキー13」は、他のルアーと同様に年月を重ねるうちに、ウッドからプラスチックへと移り変わるだけでなく、いくつものバリエーションを生んでいった。ルアー自体のエッセンスは変わらず、80~90年前からは「ラッキー13」は変化をしていない。
「ラッキー13」という名前にも関わらず、その完成されたデザインとそのデザインが生み出すアクションの多様性は目を見張るものがある。一見すると他のチャガールアーと同じように見えるかもしれないが、このルアーが繰り出すアクションは、他のルアーにはない多様な性能がビルトインされている証だ。トップウォーターのエキスパートであるヒロ内藤は、ルアーフィッシングとエサ釣りの一番の違いについて、ルアーフィッシングの場合はただ魚がバイトしてくるのを待つのではなく、アングラー自身がバイトを作り出さなければならないことだと言っている。「ラッキー13」は、この一つのルアーで、色んな方法で魚のバイトを引き出すことができる。
「ラッキー13」で最も特長的なことは、簡単にポッピングとチャギングという二つの全く異なるアクションを作り出すことができることだ。「ポッピングは逃げ惑うベイトフィッシュをイミテートしている。」し、「チャギングは魚食魚がベイトをフィーディングする時に出すより大きな音を演出している。」と内藤は説明している。内藤は、「ラッキー13」をロッドチップのショートでシャープなスナップによってポッピングさせている。クイックなポッピングは、ルアーの移動距離が小さく細かなアクションをつけることができるのだ。一方、内藤は、この同じルアーを使って、ロッドをスローに長くスイープさせることによってルアーをチャギングさせている。ルアーのカップ形状とラインの結紮部位によって、このルアーはダイブし、チャギングサウンドを生み出してくれる。
ルアーのこのようなアクションだけにとどまらず、リーリングやスイーピングのどちらでも、「ラッキー13」は、ほんの少しダイブし、大きくワイドなウォブリングアクションを生み出し、ポーズを入れると水面へポップアップする。内藤のプレゼンテーションは、ストライクゾーンの近くにルアーがある間は、クイックで小さめのポッピングアクションで魚を誘い、遠くから魚を引っ張ってくる場合にはチャギングアクションを混ぜるなどしている。ポッピングとチャギングの間にジャークを入れたり、長めにロッドをスイープさせルアーを潜らせ、ロッドにスナップをかけ水面下でルアーをダートさせたりもする。
実際のところ、内藤は、リズムやアクションのキレ、ポーズの長さなどを変化させながら、何がその日のバイトを誘発するのかを見極めるという作業を行う。魚が反応するプレゼンテーションの仕方やエリアを絞り込む上で、魚が反応しないという情報も無駄にすることなく、その日の戦略に取り込んでいく。「ラッキー13」がアングラーにとってラッキールアーであるか否かは、バイトを引き出すプレゼンテーションのスキル次第だと内藤は考えている。