「ジェーソン・クリスティーの低水温、マッディーコンディションの攻略法」
プリスポーン前のマッディーウォーターの良い点と言えば、魚の居場所が特定しやすいことだ。ただし、バスが何処にいるのか分かったとしてもマッディーウォーターのバスに口を使わせることは並大抵のことではない。エリート・シリーズプロでバス・ファン・ワールドランキング、ナンバーワンのジェーソン・クリスティーは、多くのアングラーが低水温、マッディーコンディションに関して絶望的な話しかしないのが不思議でしようがない。確かに普段それほどマッディーでもクリアでもないフィールドにいるアベレージサイズのバスを、低水温期にマッディーな状況で釣るのは難しくなるのは事実だ。 だから、このようなタフなコンディション下でクリスティーが選ぶファーストオプションは、できるだけ相対的濁度が低いクリアなエリアを探すということだ。クリアウォーターということではなく、可能であればより濁度が低いエリアとスポットに移動すべきだということだ。僅かでもクリアな水域は、広がっているマッディーウォーターの先にあるかもしれないし、マッディーウォーターの下に隠れているのかもしれない。フィールドによっては、上流部の支流は雨が降った後、一週間ぐらいは濁りが増すがボディーウォーターやボディーウォーターに近い支流は、沈殿物の密度が低いため沈殿物の沈下が早く完了するので上流部より影響が相対的に小さい。一方、普段から流入量が多いフィールドの支流では、上流部から順にクリアになりその範囲は徐々に全域に広がっていく傾向となる。このようなフィールドでは、驚くことにチョコレートミルク色に濁ったすぐ隣にクリアな水域が現れることがある。簡単にクリアなエリアが見つからないことがあるが、そんな時クリスティーは、バスのスポーニングエリアに程近いバンクに注目して、そこにある全てのカバーやストラクチャーをターゲットにする。オープンウォーターでは、バスはシャローに上がると何かハードなものに付く傾向がある。例えば、岩であったりブッシュやドックのようなハードカバーを好む。魚を蓄える水没したスタンプやロックがフラットには点在しているが、それ以外の変化のない場所で魚を探し出すのは難しいかもしれない。クリスティーは、フラットエリアにバスの存在を確認できたらエクスキャリバーのXr50ラトルベイトかXrk50ワンノッカー・バイブレーションルアーを投げる。大き目のサウンドとバイブレーションがマッディーなコンディションではより効果的だ。次にブッシュやドック、レイダウンなどのビジブルなカバーに対してクリスティーは、BOOYAH(ブーヤー)の1/2オンス(14グラム)シングルコロラド・スピナーベイトをキャストする。バイブレーションと同様に、特にシングルコロラド・ブレードは、他の形状のブレードを持つスピナーベイトよりも強く水を押してくれるのでバイブレーション効果が期待できる。スピナーベイトを投げる時クリスティーは、ショートかつ正確なキャスト、すなわち、狙うターゲットやカバーにできるだけタイトにアプローチすることを心掛けている。そのカバーのポテンシャルをイメージしながら様々な角度から何度も丁寧にキャストを繰り返す。
相対的濁度が高ければ高いほど、バスの目の前を通すようなアプローチが必要となる。視界が悪いコンディションの中からバスのバイトを引き出すためには、何度も繰り返しルアーの存在をバスに見せるということも時として効果的だ。特にヘビーカバーの場合は、よりスローで正確なアプローチが要求される。クリスティーは、BOOYAH(ブーヤー)の1/2オンスのブー・ジグにYUM(ヤム)のクローチャンクをリグり、フリッピングかピッチングでドックカバーやブッシュあるいはオダの中にまでジグを送り込む。このような低水温、マッディーな状況下でのスピナーベイトやジグフィッシングにとって、キャストのアキュラシーとじっくりと攻めるという釣りの姿勢がとても重要となる。不注意なボートの操船によってバスを警戒させたり、驚かすことがないよう静かにボートをターゲットカバーに出来るだけ近づけた上で、正確なキャストを心掛けよう。濁りが強い状況下でどんなルアーを使うにしてもブルーブラックやレッドブラックのようなダーク系のカラーが有効だ。バスにとって視界が効きにくい場合、ダークカラーは、コントラストがはっきりするので認知されやすいのだ。
「ステイン」
マッディーな状態から少し相対的濁度が下がりステインな状態になればクリスティーは、ルアーを替える。何故なら例えば水位が若干上がることによって結果的にバスのポジションがディープになり今までタイトについていたカバーから少し離れ、そして活性自体も上がる傾向がみられるからだ。従ってカバーを打つ場合も、マッディーな状態に比べると多くのキャストを必要としなくなるので、より多くのスポットを狙うことができるし、より多くのバイトを得ることができるかもしれない。クリスティーは、トーナメントやプラクティスを通して数日という短い間に相対的濁度変化に対応をしなければならないし、フィールドやその時のコンディションによって釣りをアジャストさせなければならない。というのも、もしあるエリアでパターンが見えていたとしても時間の経過の中で、水がクリアになっていっているのか、あるいは濁度が上がっていっているのかを見極め、そのエリアに留まるのか、もしくは魚を求めて戦略を変えるのか、あるいはより良い他のエリアを模索するのかを常に決断しなければならないのだ。濁度の影響を克服することは非常に難しい問題で、明確な答えは出ないかもしれないが毎年、冬の終わりから早春にかけて低水温とマッドウォーターの問題は避けて通れない問題だ。